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平成25年《第3回定例会 代表質問》


 都議会公明党を代表し、知事及び警視総監、教育長並びに関係局長に質問いたします。
 2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地決定は、世界都市・東京の新たな歴史を開く大きな節目となりました。
 IOC総会で、ロゲ会長が東京決定を発表した瞬間の感動は、日本人の心の中に長く残っていくことと思います。
 都議会公明党は、都が2016年の東京招致に乗り出した当時から「東京オリンピック・パラリンピック」開催に向けた首都東京の再構築をリードしてまいりました。東日本大震災直後の第2回定例会では、「被災地に夢と希望を与え、日本を再生していくシンボルに」とその意義を訴え、招致に向けた取り組みを加速させました。
 今回の招致の成功は、安全性や財政面での確実さとともにスポーツの持つ力をクローズアップしてアピールしたことなどにあります。プレゼンテーションでの「私が、ここにいるのは、スポーツによって救われたからです。」とのスピーチは、大きな感動を呼びました。
 東日本大震災からの復興は、人々に生きる力を与え、勇気を鼓舞し、大きな喜びを与えるスポーツの力が必要です。まさに、7年後のオリンピック・パラリンピックの東京開催は、閉塞感漂うこれまでの日本の状況を打開し、将来への明るい展望を指し示す絶好の機会であります。
 東京は今後、2020年に向け、防災・減災の強化、被災地の復興支援など一つ一つの課題解決を着実に推進し、世界の国や地域が安心して参加できる環境を整備して、東京大会への機運を高めていかなければなりません。
 以下、第19期都議会の冒頭に当たり、わが党の基本姿勢に触れつつ、オリンピック・パラリンピック、社会保障、福祉、防災、教育、環境など、各項目について質問してまいります。

【五輪後の東京に向けて】
 1964年の東京大会と今回との大きな違いは、人口減少社会の中で迎えるという点にあります。確かに前回の東京大会は、戦後日本復興の、さらには高度経済成長を加速させる契機となりました。
 しかし、今回の大会は、低迷し続けた経済を立て直すビッグ・チャンスとは成り得ても、少子高齢化かつ人口減少化を迎えるわが国にとって、オリンピック・パラリンピックのレガシーをどこまで活用できるのか、あくまでも未知数であります。
 東京大会の成功を目指す様々な取組が、大会後のわが国の明るい展望に確実に繋がることが重要です。
 その意味で、今回作成される新たな東京ビジョンは、その後のわが国の姿をも見通した都市機能の再構築、景気経済の回復、持続可能な社会保障の確立などの視点を網羅したものでなければなりません。
 併せて、今後、国の社会保障と税の一体改革によって、人口減少社会に対応した社会保障制度の立て直しが進むと思われますが、住民に身近な自治体のレベルでは、個々の生活課題に即した福祉の充実がより一層求められてまいります。
 都議会公明党は、2020年の東京大会後をにらんだ取組みの中で、「福祉先進都市・東京」を一層、世界に発信させていくべきと考えます。新たな長期ビジョン構築に向けた知事の見解を求めます。

【少子高齢化対策】
 福祉先進都市・東京の構築に向けた最重要課題が、少子高齢化対策であります。
 8月6日にまとめられた国の社会保障制度改革国民会議報告書は、一言で言えば、「1970年代モデル」から「21世紀日本モデル」への転換を謳っています。ここで言う「70年代モデル」とは、正規かつ終身雇用の男性が妻子を養い、専業主婦の妻が家庭を担うモデルであり、行政が担うべき社会保障は、専ら年金、医療、介護を中心としていました。
 一方、「21世紀モデル」は、雇用や子育て支援、さらには、住まいや格差問題などといった様々な社会的機能、課題まで、社会保障の対象を広げています。その背景には、著しい少子高齢化の進展があります。現在は国全体で4人に1人の割合である65歳以上人口が、20年後には3人に1人となります。
 特に後期高齢者の人口増は著しく、20年後は全人口の20%、5人に1人が75歳以上となります。本年4月の都の介護保険事業状況報告によれば、75歳以上の後期高齢者の要介護認定率は、74歳までの前期高齢者の約6・8倍と高い数値を示しており、要介護者の急増を受け止めることのできる社会構造への転換が求められています。
 こういった状況を踏まえ、都議会公明党は、この8月に少子化対策PT、高齢化対策PTを立ち上げ、福祉の構造的な課題に取り組み始めたところであります。
 都としても、単に都庁の組織を局横断的に束ね、施策を推進するという従来の発想を改める必要があります。これこそ「構造的福祉」の考えそのものと言えますが、まず、知事の基本認識を伺います。
 ところで、今回の報告書の最大の特徴は、社会保障四分野改革の筆頭に少子化対策を掲げていることにあります。都議会公明党は、少子化対策、とりわけ子育て支援は、親子、家族のためだけではなく、社会全体にかかわる問題であり、経済成長にも資するものとして、この分野における政策提言と実績を重ねてきました。
 この度、社会保障と税の一体改革のなかに、子ども・子育て支援のための新制度が設けられ、自治体は早ければ2015年4月といわれる本格施行に向け、準備に取り掛かります。都は制度の実施主体となる区市町村が着実に準備を進め、子ども子育て施策の充実が図られるよう十分に支援していくべきです。見解を求めます。
とりわけ、都内の75歳以上人口は15年後には200万人を超え、その後も増加し続けます。200万人といえば、47都道府県の人口ランキングで20位以上の県に相当します。
 それほどまでに、人口が過度に集中する東京の高齢化は、深刻な課題なのであります。
 これまで国は、マンパワーの十分な確保なきまま在宅介護重視への転換を図り、訪問サービス基盤の充実、活用の促進に力点を置いてきましたが、老老介護に象徴される在宅介護の現状を思えば、これからは住まいそのものに医療・介護との連携を組み込んだ地域社会づくりへの転換を、社会全般で進めていくことが必要になってまいります。
 したがって都は、介護予防の一層の強化や特別養護老人ホームの増設に加え、医療・介護連携型の高齢者向け住宅の整備・推進などの住宅・福祉政策、さらにはそれを支える人材育成に取り組むとともに、高齢者の生きがいづくりや就労支援も含めた大都市東京の高齢者施策を強力に推進すべきと考えます。見解を求めます。

【パラリンピック】
 福祉先進都市・東京の構築のためには、2020年東京大会におけるパラリンピックのクローズアップが重要であります。 1964年の東京大会は日本の障がい者スポーツの原点であります。また、それまで車椅子使用者のみの参加であったものを、その他の障がい者にも広く門戸を開いたという意味でも画期的な大会でした。
 昨年のロンドンパラリンピックは、イギリスがパラリンピック発祥の地だけあって、史上最多の164の国・地域が参加し、オリンピックに勝るとも劣らない盛り上がりをみせ、大成功であったと評価されています。
 障がいの有無にかかわらず、スポーツの力で世界中に勇気と希望をおくるオリンピックとパラリンピック。この2つは本来同等の価値を持つものです。
 両大会を東京で再び開催する2020年には、パラリンピックの価値を今以上に高め、パラリンピアンがオリンピックと変わらない興奮と熱狂の中、最高のパフォーマンスを発揮し輝くことのできる大会にすべきと考えます。見解を求めます。

【女性力の活用】
 次に、女性の活躍の促進について質問します。
 オリンピックの歴史をひもとくと、古代オリンピックは女性禁制でありました。更に近代オリンピックにおいても、1896年にアテネで開催された第1回大会では、女性選手は一人もいませんでした。
 こうしたオリンピック史の中で2012年のロンドン大会では、204の参加国・地域すべてで女性選手の参加が実現しました。 翻って、今回の東京大会の決定にあたっても、その決定打となったのは最終プレゼンテーションと言われ、猪瀬知事のスピーチはもちろんのこと、佐藤真海さん、滝川クリステルさんら女性の活躍が光りました。
 さらに、高円宮妃殿下の被災地支援に対する気品ある御礼のスピーチは、ひときわIOC委員の心に響いたと言われております。
 一方、4月に発表された政府の成長戦略では、女性の活躍はその中核をなすものと位置付けられ、女性の中に眠る高い能力を十二分に開花させていくことが、閉塞感の漂う日本を再び成長軌道に乗せる原動力としています。
 これは、これまで「男女平等参画」とか「女性の社会進出」として位置づけられてきた取り組みとは本質的に一線を画すものであり、都議会公明党の考えと軌を一にするものであります。
 さらに、男女共同参画白書(平成25年版)によれば、管理職に占める女性の割合はフィリピン53%、アメリカ43%、フランス39%、シンガポール34%に比べ、わが国は11%にとどまっており、女性の就業希望者が300万人にのぼっていることもあわせれば、わが国経済の成長には、まだまだ大きな潜在力があると言えます。
 こうした国内外の潮流のなか都は、7年後のオリンピック・パラリンピック開催を目指し、女性の活躍の場を拡大させるべきです。知事の見解を求めます。
 併せて、先週警視庁は、女性職員の積極登用を表明しましたが、警視総監の見解を伺います。

【五輪開催に伴う被災地支援】
 本定例会の所信表明で知事は、東京が手にしたオリンピック・パラリンピックの旗を「高く掲げながら、被災地の復興をさらに加速」させると表明しました。
 私たち都議会公明党は「被災地の復興なくして、東京大会の成功はない」と考えております。 都議会公明党はこれまで、福島をはじめ被災地を繰り返し訪れ、被災者の方々の訴えを直接お聞きしながら、被災地応援ツアーの継続や、都内での被災地物産展の積極的な開催、東京の小売業者による被災地支援研修会などの風評被害対策、子どもたちのスポーツ交流や文化・芸術を通じた支援など、具体的な取り組みを着実に実現してきました。
 震災から2年半が経過した今日、がれき処理などは進んでいますが、被災地や都内などの応急仮設住宅に住む被災者の今後の住宅問題、被災地における新たなまちづくり、震災の打撃や風評被害をいまだ乗り越えることができない被災地の産業振興や雇用対策など、復興に向けた重要な課題が数多く横たわっています。
 勇気と希望を生むオリンピック・パラリンピックを通じた被災地支援について、知事の見解を伺います。
被災三県や日本体育協会、JOCなどからなる復興専門委員会の最終報告が昨年末まとめられ、宝くじの収益による被災三県のスポーツ施設の整備、代表選考会の被災地での実施、被災地と世界各国との国際交流事業など、さまざまな提言がなされました。
 東京開催では、被災地復興の姿を世界の人々にアピールするためにも、被災地から多くの方々が競技会場に参加し、競技を観戦しながら各国の人々と交流できるよう工夫すべきと考えますが、答弁を求めます。

【治安対策】
 次に、オリンピック・パラリンピックの開催に向けた治安対策について質問します。
 「世界で最も安全な都市での開催」を謳ったことが、東京開催の決定に至る重要な要因でもありました。
 世界百数十カ国が参加するオリンピック・パラリンピックは、百を超える国家元首クラスの要人はもちろん、参加選手団やスタッフ、マスコミ関係者や国内外の観光客などの多くの方々の来訪が予想されます。大会開催中の来場客数だけでも約1000万人といわれています。
 過去の経緯をみてもテロ対策に万全を期すとともに、東京大会を目指してくる観光客や、受け入れる都民の方々を各種犯罪から守ることが、首都東京の治安を担う警視庁の責務であります。
 また、東京の都市としての魅力を最大限に発揮した大会にするためにも盤石な安全・安心の確保が必須であります。
 そこで東京開催に向けた治安対策の取組について警視総監の所見を求めます。

【横田基地の軍民共用化】
 オリンピック・パラリンピックに関連する質問の最後に、横田基地と東京港の新たな活用策について質問します。
 猪瀬知事は、今回の所信表明で、アスリートに最高の競技環境を提供するための課題として、道路ネットワークの整備や増大する航空需要への対応の必要性に言及されました。東京大会の成功に向け、横田基地の軍民共用化に言及されたことを高く評価します。 この問題は、知事が過日の記者会見でも述べられたとおり、国の安定した政権運営というバックボーンなくしては、決着しがたい課題であり、いよいよ絶好のチャンスを迎えつつあるものと言えます。
 しかし、何といっても地元、東京の知事の熱意なくして成果が上がるはずもありません。横田基地の軍民共用化に向けた知事の決意を伺います。

【クルーズ客船の誘致促進】
 次に、東京港の観光客船への対応力の向上もまた、喫緊の課題であり、クルーズ客船の誘致促進について質問します。
 9月14日には、ゴールデンウィークに引き続き、乗客乗員で5千人規模の大型クルーズ客船であるボイジャー・オブ・ザ・シーズが東京港に入港しました。船内では観光庁長官も立ち会う中、この船を運航する米国ロイヤルカリビアン社と東京都港湾局との間で、来年の寄港や相互の協力関係の継続を内容とする協定書が調印されました。
 これは、東京港の新時代の幕開けとして象徴的な出来事であります。今後、クルーズ客船の更なる誘致、そして観光産業の発展へと繋がっていくことを願うものであります。
 ところで、近年、このような大型客船が再び脚光を集めつつありますが、東京は日本の表玄関でありながら、大型クルーズ客船は、レインボーブリッジをくぐることが出来ません。
 クルーズ市場の振興を背景に、更なるニーズを掘り起こし、1回の寄港あたり数億円という経済効果や観光都市としての発展など、大きなチャンスを掴むべきであると考えます。
 わが党は第二回定例会において、大型クルーズ客船の受入体制の充実が必要であると指摘しました。当面は大井水産物ふ頭での対応を前提に、乗客の利便性や快適性の向上に向けた取組が必要でありますが、将来的にはレインボーブリッジの外側に、大型船に常時対応できる新たな客船ふ頭を整備することが必須であります。今後の展開について所見を求めます。
 東京港にクルーズ客船を効果的に誘致していくためには、新たな客船ふ頭の整備に加え、十分な現状分析や将来予測を行い、今後の東京港におけるターゲットを定めた上での施策の展開が不可欠であります。
 今後の対応について見解を求めます。

【木密解消と液状化対策】
次に、防災減災対策について質問します。
 はじめに、液状化対策と木密地域の解消についてであります。
 液状化しやすい地盤の改良や、被害が拡大しやすく救援活動も展開しにくい木造住宅密集地域の解消は、東京の防災における最重要課題の一つであります。
 都議会公明党は、先日、東日本大震災で市内86%が液状化被害を受けた千葉県浦安市のその後の取組みの模様を視察してまいりました。
 浦安市は、現在、道路下の地盤などを強化することによって、住宅立地区画を外側から補強する取組みを進めようとしています。
 浦安市がこうした方策を採用できた背景には、市内の地盤の大部分が、近年埋め立てられたものであり、あらかじめ幅員の広い道路が碁盤の目のように整備されていたという事実があります。道路が狭あいな東京の木密地域などでは、こうした工法を採用できないことに加えて、都内の木密対策は、自治体の人員削減に伴う専門人材の不足、住まいの共同化に対する住民の抵抗感などもあって、多くの場合なかなか進捗しておりません。
 過日、都議会公明党が視察した江戸川区JR小岩駅近くの取組みにおいても、地元区は懸命な努力を重ねているものの、戸建て住宅の建て替えが中心で、しかも、不動産相続の機会を捉えた取組みが精一杯の状況にあり、十分な道路幅員の確保には至っておりません。
 こうした現状を踏まえれば、これまで都議会公明党が機会あるごとに訴えてきたとおり、木密対策と液状化対策の必要が重なる危険度の高い地域では、面的整備が不可欠です。
 そこで、都は今後、木密対策や液状化対策を抜本的にスピードアップさせていくため、必要地域を対象に、再開発や区画整理などの面的整備を、民間の人材、資金、ノウハウを積極的に活用して実施すべきと考えます。見解を求めます。 その上で、都は現在、危機的状況にあった都財政の建て直しを優先させるため、多額の費用を要する新規の区画整理事業には着手していません。
 しかし、新たな区画整理事業に着手できる余力という点では、区市は都以上に困難と言わざるをえません。
 したがって、都は、都内全体の取組みの進捗を強化させるべく、都施行の新たな区画整理事業に着手すべきと要望しておきます。

【国の施設との災害連携】
 次に、災害時の国施設の活用についてであります。
 首都直下型地震による一時滞在施設の需要は、約92万人分と予想されています。
 他方、東日本大震災の際に国の一部の施設では、施設側での受け入れ準備が出来ていたにもかかわらず、その施設へ帰宅困難者が誘導されることが無かったため、利用されなかったという事例もありました。
 一時滞在施設については200の都立施設が指定されるとともに、民間事業者にも提供していただくため、都や国、民間団体で構成される会議での検討が進められていると聞いております。
 例えば、陸海空の自衛隊幹部学校は恵比寿駅、中目黒駅の近傍に位置し、帰宅困難者の受入先として適切な環境にあり、さらに高台に位置しているため、浸水被害の恐れがある場合には住民の緊急避難先として有望です。
 また、地元の区は、学校内に幹部自衛官がいることもあって、発災時には周辺地域の救出・救助活動などにできる限りの協力を希望しております。
 このような国の施設は都内に多数存在しており、都は国の施設利用などの協力を積極的に求めるべきです。
 そこで区市町村が国の関係機関と協力関係を構築する場合に、都が区市町村の取組を支援していくことが重要と考えますが、所見を伺います。

【「安全・安心」下水道幹線の再構築】
 次に、下水道幹線の再構築について質問します。
 近年、都市インフラの老朽化が社会問題となっております。特に高度経済成長期に整備された下水道幹線が、今後一斉に法定耐用年数を迎える状況にあります。下水道施設のうち下水道幹線は、大量の下水を集めて水再生センターへ流下させるもので、施設の規模は極めて大きいものとなっております。その下水道幹線が老朽化や震災により機能を失ってしまうと、その影響ははかり知れないものがあります。
 わが党の重点施策である防災・減災対策を進め、「安全・安心」先進都市・東京の再構築をしていくためにも、より一層のスピード感をもって対策を進める必要があると考えます。所見を求めます。

【地球観測衛星を活用した情報収集】
 防災対策の最後に、JAXA・宇宙航空研究開発機構による地球観測衛星の活用について質問します。
 災害時に、被害状況を一括して把握することは、救助や復旧にとって極めて重要です。
 「だいち2号」が搭載しているレーダー「SAR」は、衛星を移動させながら、目標に電波を照射し、地表面にあたって返ってきた電波を重ね合わせて画像化するシステムです。レーダーによる地表観測のため視界が悪い状況でも撮影できるとともに、地形の変化を広域的に捉えるなどの面で優れています。
 例えば、浸水、冠水域、海上漂流物、海面におけるオイル流出、道路状況や土砂災害、地殻変動などが、夜間や悪天候でも観測できるメリットがあります。
 JAXAからは、無償で画像データを入手でき、また他国の人工衛星との協力関係の構築による被災状況の収集も可能となります。 今年度中に打上げが予定されている「だいち2号」による衛星画像は、画像内容や撮影頻度といった点などにおいて、平成23年5月まで運用されていた「だいち」と比べても高い性能を有しています。
 都は、JAXAと協定を結び、「だいち2号」の利用方法を予め定めておけば、都の応急対策に十分活用できます。 この「だいち2号」の今後の活用について、都の見解を求めます。

【安定給水の確保】
 次いで、首都圏の安定給水の確保について、質問します。
 今年は、日本各地で局地的豪雨や渇水が発生するなど、異常気象が顕在化しています。香川県では、早明浦(さめうら)ダムの貯水率低下に伴い、最大50%もの取水制限が行われ、一部の市町では減圧給水を実施いたしました。
 また、利根川水系においても、昨年に続き今年も取水制限が始まったため、わが党は、7月31日、矢木沢(やぎさわ)ダムを視察いたしました。普段は水没している湖岸は、地肌がむきだしになり、流木が無残な姿をさらしていました。
 7月の取水制限により、水需要のピークを迎える8月を乗り切ることができるのか、大変に不安を覚えましたが、幸い取水制限から給水制限に至ることはありませんでした。
 今年の利根川の取水制限に対する都の具体的な対応について、説明を求めます。
 現在、首都圏3000万人の水がめとなるダムは奥利根地域に集中しており、吾妻水系には、大規模なダムがないため、ひとたび奥利根地域に雨が降らないと取水制限やさらには給水制限といった危機に直面します。
 従って、最も重要なライフラインである水道の安定給水のためには、八ツ場ダムの早期完成が必要不可欠であります。
 また、八ツ場ダムは利水という側面だけでなく、治水という重要な役割を持っています。 民主党政権は、建設を安易に中断させ、工期を大幅に遅延させてしまいました。国民の生命と財産を守るという国家の根本使命を忘れていたといわれても仕方ありません。
政権交代により、来年度予算の概算要求に本体工事費が計上されるなど、ようやく着工に向けて動き始めたところでありますが、八ツ場ダムの一日も早い完成が待たれるところであります。
 渇水に十分備え、安定給水を確保して都民のライフラインを守っていくための今後の都の取組について見解を求めます。

 次に、教育施策について質問します。
 今、世界の最高学府では、教育イノベーションの潮流が起こっております。ハーバード大学をはじめとする100を超える世界の名門大学では、MOOC(ムーク)と呼ばれる無料のオンライン講座をスタートさせて、国境や経済格差を超えて意欲ある優秀な学生や人材の獲得に取り組んでいます。その講座の数は、既に500を超え、1000万人が受講をし、今月からムークを始めた東京大学でも、既に6万人の受講生を獲得しているとのことです。教育イノベーションの世界の潮流に遅れをとらないよう我が国も教育再生に全力を挙げていかなくてはなりません。そのためには、礎となる初等・中等教育のたゆまぬ改革が必要であります。
 こうしたことを踏まえ、都議会公明党は、昨年の第2回定例会で、現在の小中高の6・3・3制の見直しなどを通して、児童・生徒が自らの意思と努力に応じてより多くの学識を習得し、才能を開花させていくことができる新たな教育の取組の検討を求めました。
 これに応えて、都は今回、都の検討委員会の取組を通して、理数を重視したモデル校の構想を発表しました。6・3・3制の見直しについては、これまで机上の議論に終始されがちでありました。都がこうした壁を打ち破る一歩を踏み出したことを評価します。
 新たな時間軸に基づくカリキュラムの見直しによって、都が目指している教育効果について、所見を求めます。 都が行う今回の教育改革は、6・3・3制という既存の時間軸を突破する必要があったことから、あえて小中高の三つの校種の枠組みを越えて、都が一貫した設置者となることを選択するものです。
 しかし、ある意味、実験的な取組みでもあるため、さまざまな課題を孕んでいます。例えば、学年が進んでから理数に不向きであることを自覚した児童・生徒への対処の仕方などの課題などにも目を向け、都は、開校直前まで、さらには開校後も、随時柔軟にその解決、改善に努めるべきです。
 また、このモデル校が生み出す成果については、必要な年限の経過後、すみやかに、国への提言や教育関係者への情報提供などを通じて、より多くの都民、児童・生徒に還元できるよう、開校前から準備を重ねるべきと考えます。併せて見解を求めます。

【発達障害教育の推進】
 次に、発達障害教育の推進について質問します。
 都は、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画において、全ての公立小・中学校に特別支援教室を設置し、専門性の高い教員による巡回指導を実施することとし、小学校でのモデル事業を開始しております。
 都議会公明党は先日、モデル事業実施校を視察してきました。そこでは、発達障害のある児童に対し、必要な支援がきめ細かく展開されていました。
どの学校・学級おいても支援を必要としている発達障害のある児童・生徒がいると言われている現状を踏まえ、モデル実施校以外の区市町村でも、当初の計画年次を待たずに、早期の教室開設を進めるべきです。
 加えて、推進計画では、中学校への導入時期が示されていません。小学校から引き続いて、特別支援が必要な生徒への対応ができるよう、中学校へのモデル事業も早急に始めるべきと考えます。併せて見解を求めます。
 一方、こうした発達障害がある児童・生徒に対する教育の専門性を身につけ、高めることができる教員の育成とともに、事務量や教員の負担が増えた場合には、人的体制の整備も不可欠と考えます。
 また、発達障害のある生徒が、普通科高校に入学していくことを踏まえ、全ての都立高校においても、支援体制や指導内容を早急に確立する必要があると考えます。併せて、見解を求めます。
 発達障害のある児童・生徒も、やがて自立と社会参加を実現していきます。その支援には、就学前から義務教育段階、高等学校段階、そして大学進学や就労までの一貫性のある支援体制を構築することが必要です。
 そのためには、児童・生徒の発達障害が明らかになった段階から、「個別の教育支援計画」を確実に作成し、児童・生徒一人ひとりに対する必要な支援の内容を明確にした上で、医療・福祉・就労などとも連携した一貫性のある支援を行っていくべきと考えます。見解を求めます。

【環境・エネルギー】
 次に、エネルギー施策について質問します。
 都は、今年度から家庭のスマートハウス化を目指した70億円の事業を予算化し、今年6月から事業を開始しました。スマートエネルギー都市の実現に向けて、大きな意味を持つ事業であり、特にわが党の主張を受け入れ、戸建ての住宅のみならず、都内の住宅ストックの約7割を占めるマンション等の集合住宅の共用部も含め補助の対象としたことは歓迎したいと思います。
 大規模で新規のマンション開発では、共用部に太陽光発電や蓄電池等を装備するとともに、高圧一括受電や、MEMS(メムス)と呼ばれるITを活用したマンション全体をエネルギーマネジメントするシステムを導入するなど、省エネと防災力の高いマンション供給が始まっています。
 都内の大部分を占める既存の集合住宅にもスマート化を加速することが必要であると考えます。本事業の進捗状況と併せて都の見解を求めます。
 都はこれまで、発電と熱利用の両面から太陽エネルギーの普及拡大に努めてきました。
太陽光発電については、これまでの4年間の都の取組が寄与し住宅用は大幅に設置コストが低減し、昨年7月には固定価格買取制度も導入され、太陽光発電は自立的な普及拡大期に入りつつあります。
しかし、全国的にはメガソーラーに偏った形で普及が拡大していることもあり、事業所や住宅などの建物における普及がやや伸び悩んでいる現状もあります。
 一方、太陽熱利用は、都が先駆的に新たな太陽熱住宅のモデルを生み出す補助事業を展開しているにもかかわらず、国の本格的な支援策が未だないため、全国的に市場の拡大が進んでいません。
 都は、住宅用を中心にこれまで成果を挙げてきた普及拡大の取組を着実に進めつつ、事業用という新たな分野も視野に、発電と熱利用の両面で太陽エネルギーのさらなる普及拡大を図ることが必要と考えます。都の見解を求めます。

【入札契約制度改革】
 最後に、入札契約制度について質問します。
 昨年からの公共工事の状況を見ると、これまでの国の公共事業量削減に伴う建設職人等の減少や東日本大震災の本格復興に向けた労務費や資材価格等の急騰などによる今後の先高感もあって入札不調が増えています。
 例えば、多くの高齢者が一日も早い設置を望んでおられる都営住宅のエレベーター設置工事や様々な建築工事などが、発注金額が低くすぎるため入札不調となり、結果として工事が延期されてしまうケースが増えています。
 そのためわが党は、賃金や物価の変動により契約金額が不適当となったときに契約金額の変更を請求することができる、所謂全体スライド条項について、適切に適用するよう求めましたが、その後100件を超える工事で契約金額の増額に向けた協議を行っていると聞いています。
 このような取り組みは一定の成果を上げてはいますが、今後は、被災地の支援を継続しながら東京オリンピック・パラリンピックの施設整備や高度防災都市作りを更に着実に実施していく必要があります。
 例えば、設計・測量・地盤調査などの委託契約の成果物は、その後の工事の出来不出来を左右し兼ねない重要なものであり、技術力のある良質な入札参加者が受注できる仕組みを推進していく必要があります。
 都は、このような状況の変化を踏まえ、より適切な入札契約制度の実現にむけて、一層の取組みが必要であると考えますが、所見を求めます。
 他方、老朽化した都市施設の更新や景気回復、さらには東京オリンピック・パラリンピックの準備を順調に果たす上で都政に寄せられる期待に応えるためには、契約・入札制度などの改革だけでは足りません。とりわけ、技術職員の確保は喫緊の課題です。
 今後、大会開催までに、数多くの競技施設や関連する都市インフラを同時進行で整備していく必要があります。これらを担うのは、土木や建築などの専門知識と経験を持つ技術職員です。こうした施設整備等を担う上で重要な技術職員の確保について、都の見解を求め質問を終わります。



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