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平成 22 年 第3回定例会の報告

平成25年《第1回定例会 代表質問》

【はじめに】
 都政の課題は実に幅広いものがありますが、本年は特に被災地の復旧・復興支援の継続、東京の震災対策の強化・再構築、そして何と言っても景気回復、デフレ脱却が我々の大きな関心事であります。  被災地の支援に関しては、瓦礫の処理、職員の派遣、被災地応援ツアーなど、引き続き現地の要望に沿った取り組みを継続すべきでありますし、翻って、都内の震災対策の強化・再構築に関しては、地震の二次災害・火災対策が重要であります。  東日本大震災では津波で甚大な被害を出しましたが、首都直下型では火災が最大の脅威です。従って、とりわけ火災に弱い木造住宅密集地域への取り組みを、ありとあらゆる方策を総動員して強化すべきです。これについては後ほど具体的に質問します。  一方、景気対策は第一義的に国の課題ではありますが、考えみれば、総額12兆円超の予算を動かす東京都の財政が、一国経済に影響を与えないわけはありません。 従来、自治体の経営と国の経済成長を関連付ける考えは、あまり馴染みがありませんでした。しかし、もしも本気で東京から国を変えるというのであれば、改めて首都・東京の財政運営、自治体経営がいかに国の経済を動かすかに意を払うべきであります。  昨年末の政権交代で、一夜にして世の中の雰囲気が変わりました。政治の持つ役割について、改めて感慨深いものがあります。しかし、より重要なのは、この明るい雰囲気を雰囲気に止めることなく、実体のある展望へと転化させることであります。  そのために東京は、いかなる役割を果たせるのか。産業労働局をはじめとして各局が取り組んでいる個々の政策も重要ですが、東京都総体として、あるいは12兆円超の規模を持つ東京都の財政が、総体として国の経済成長にいかに影響を与え得るのか、新たな視点で考える必要があると思います。まず最初に知事の所見を伺います。

【木密解消策について】
 具体的な課題の最初に、木造住宅の密集地域対策について質問します。
区部を中心に都内各地に広がる木造住宅の密集地域対策、いわゆる木密対策は、最重要の課題の一つでありながら、その進捗は、はかばかしくありません。かつて、抵抗の多い再開発型から修復型街づくりに転換したものの、その歩みは遅々としています。いまや、大胆な発想の転換が必要です。
 その意味で注目すべきは「特例容積率移転適用地区」制度です。この制度を利用して、大手町、丸の内、有楽町地区では、東京駅上部の容積を同一地区内で他の敷地に移転し、地区内の高度利用を図ることにより、都市再生を進めています。都議会公明党は昨年の第一回定例会においても、木密地域の建替えのために、この容積移転制度を活用した大胆な取り組みを強く求めました。
 幅員4?に満たない狭隘な街路に囲まれ、現状としては他の地域に移転できるほどの容積の余剰に恵まれない木密地域であっても、延焼遮断帯となる道路やオープンスペースの整備が進めば、間違いなく活用可能な容積率が増大します。
 しかし、例え整備が進み、耐震・不燃化が実現した後であっても、低層な住宅街の維持を望む木密地域の住民の方々も数多く存在します。そこで、もし仮に、拡大された容積率を将来的にも使用しないとの住民合意が成立する地域があり、その一方で、余剰となった容積の受入れを望む地域が存在するのであれば、論理的には容積率の移転は可能です。
 さらに、活用可能な容積率が増えた地域では、民間資本の導入による開発も選択肢の一つとなります。つまり、先程述べた大手町・丸の内・有楽町地区と同様の取り組みが、工夫によっては木密対策として展開できることになります。従来の行政の発想からは、荒唐無稽に映るかもしれません。しかし民間には、行政の想像力を凌駕した街づくりのノウハウが蓄積されています。
 そこで木密地域においては、まず適正な配置と規模を持った公共施設や道路、オープンスペースを整備して、加えて大胆な都市計画の工夫と緩和を行い、地域内の容積の移転を可能として、木密地域対策に民間資本の参入を促していくべきであると考えますが、知事の所見を伺います。 この「特例容積率移転適用地区制度」は、隣接しない街区間でも容積率の移転を可能とするものであり、木密対策だけでなく新たな街づくりや再開発の選択肢を広げます。世界における都市間競争に勝ち抜くためにも活用すべき制度であります。都市計画の新たな展開に向けて、都が積極的に条件整備に努めていただきたいとを強く要望しておきます。
 また、木密対策が進みにくい要因の一つに、住民合意の形成の困難さがあります。都は先ごろ、我が党の要請に応えて、「木密地域不燃化10年プロジェクト」を推進するための「不燃化特区制度」を、この3月末にも創設すると公表しました。この特区制度においては、住民合意の形成に向けて効果的な支援策が不可欠であります。 併せて、この特区制度においては、区の人材の不足を補うため、専門家を派遣するとしています。しかし木密対策は、中長期にわたる取り組みが必要であり、専門家を派遣するだけでなく、専門的な区職員の養成が求められており、人事交流も含めた都の支援を必要としています。住民合意の形成、区の人材育成策への支援に関する都の見解を求めます。

【緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について】
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について質問します。
 都は、平成23年に耐震診断を義務付ける条例を制定し、平成27年までに耐震化を完了することを目指しました。耐震診断については、既に対象建築物5000件の内、耐震診断の助成申請を含めて50%まで完了したことは評価します。
 しかし問題は、診断のみに止まるのではなく、耐震設計・耐震改修、あるいは建て替えへと繋げていくことにあります。現状では、その成果はおよそ300件。沿道建築物の所有者は、資金的に余裕のない中小企業や、相続などの課題を持つ高齢者も多く、改修・建て替えなどを阻んでいます。 耐震診断から本格的な改修・建て替えへと事業を進めるためには、こうした個々の課題について幅広く対応していく必要があります。沿道建築物の耐震化を進捗させるための、所有者が抱える個別課題への対応について、都の見解を求めます。
 また、緊急輸送道路の沿道には細長いペンシルビルや不整形な敷地の建物が少なくありません。耐震化を進めることを契機に、質のよいストック、魅力ある街並みを形成していくためには、こうした建物を単独で建替えるのではなく、共同化や街区再編などを積極的に進めていくべきであります。見解を求めます。
耐震診断の助成は平成25年度で終了し、補強設計の助成は平成26年度、改修工事の助成は平成27年度で終了する予定です。本格的な改修を行うには、残された期間は3年しかありません。一方で、テナントとの調整や、分譲マンションにおける区分所有者間の合意形成などには様々な困難が伴い、時間がかかります。果たしてこれで間に合うのかどうか。
 先ほど述べた通り、平成27年度までに耐震化を完了することが目標であります。この目標を達成するためには、本人負担の一層の軽減策と共に、合意形成などの困難な事例については、一定の配慮が必要であります。見解を求めます。

【施設の老朽化・耐震化対策について】
 次に、河川及び海岸施設における耐震、耐水対策について質問します。
 平成23年第3回定例会において、都議会公明党は、耐震対策と併せ、耐水性の一層の強化を主張しました。
これを受けて都は、「最大級の地震が発生した場合においても、各施設の機能を保持し、津波等による浸水を防止する」という目標を定め、昨年12月に整備対象箇所や目標年次を示した「整備計画」を策定しました。具体的な計画が示されたことは評価いたします。
 先般の東日本大震災では、津波による浸水によって電気設備等の機能が失われ、多くの住民が生活に支障をきたしました。その経験に照らして、河川の堤防や水門等おける耐震対策はもとより、電気設備等の耐水対策を早急に進めていかなくてはなりません。整備計画に基づく今後の都の取り組みを具体的に示していただきたいと思います。
 次いで、首都の都市機能・中枢機能を守るためには、東京の沿岸部において、津波や高潮に対する防潮堤等の海岸保全施設が重要であります。都は先般、海岸保全施設の新たな整備計画を策定し、津波・高潮対策を強化することを発表しました。そこで重要なのが優先順位であります。都市の中枢機能を守ると同時に、当該地域の住民の安全を確保するという両面が必要です。整備計画の優先度について見解を求めます。
 次に、下水道管の耐震化及び老朽化対策について質問します。
 下水道局では、避難所などの機能を確保するとの観点から、その周辺箇所を優先的に下水道管の耐震化や液状化対策を進めています。しかし、首都直下型地震などへの対応のためには、避難所にとどまらず、帰宅困難者への対応や災害復旧拠点となる官公庁の施設なども、言うまでもなく重要です。従って、下水管の耐震化、液状化対策の優先施設の拡大を図るべきでありますが、見解はいかがか。
 また、早期に整備された下水道の老朽化が課題であります。なかでも、規模が大きく大量の下水を集める下水道幹線が老朽化し、震災時に機能を失った場合、その影響は計り知れません。下水道局では、老朽化した幹線の再構築を進めていますが、実は耐用年数前でも損傷が著しい幹線の存在が懸念されています。将来にわたって安定的に下水道の機能を確保するためには、これらの幹線の老朽化対策を重視し、対策を強化すべきです。見解を求めます。

【学校における非構造部材の耐震化について】
次に、学校における非構造部材の耐震化について質問します。 学校施設本体については、都立学校は平成22年度までに100%、都内小中学校については平成23年度末までに97%が耐震化されました。しかし、東日本大震災において新たな問題として浮上したのが、いわゆる非構造部材の耐震化であります。天井が崩落し、あるいは、窓ガラスや壁材といった非構造部材が落下して、切実な被害を出したことは記憶に新しいところであります。まず、都立学校での非構造部材の耐震化について、今後の具体的な対応について明らかにしていただきたいと思います。 また区市町村立の公立小中学校については昨年9月4日、都議会公明党として知事に対し、「区市町村と連携を図りながら、耐震化を促進すること」を強く要望いたしました。これに応えて都は、来年度から非構造部材耐震化に対する補助制度を創設しました。 そこで課題は、その運用であります。新たな補助制度の実施に当たっては、区市町村の耐震化の取り組みが具体的に促進されなくてはなりません。同様に、私立学校に対しても非構造部材の耐震化への支援が必要であります。公立小中学校への補助制度の効果的な運用について、また私立学校への支援について、併せて見解を求めます。

【東日本大震災被災地の長期支援について】
 続いて、東日本大震災の被災地に対する継続的な支援についてであります。
 我が党は、東日本大震災の発生いらい、被災地の視察を継続的に実施しております。現地の復旧・復興状況を直に確認し、関係者から直接、意見・要望等を聴くことによって、被災者や被災地のニーズに合った支援策を講じることができるからであります。
 こうした視察を通して、我が党が推進した被災地応援ツアー、東京都中央卸売市場や都内商店街等での物産販売応援フェア―、さらに復興を支援する技術系の人材派遣など、広範かつ継続的な支援には感謝の声が随所で聞かれました。
 被災地は、これから本格的な復興が始まります。被災三県に現在も継続して現地事務所を置いている都は、この三箇所の事務所を通して、引き続き現地のニーズを的確に把握し、物心両面にわたる息の長い支援を行っていくべきであります。今後の、被災地支援のあり方について、知事の見解を伺います。

【新銀行東京について】
次に、新銀行東京について質問します。
一時、破たんの危機に陥った新銀行東京は、2008年4月に都が400億円の追加出資を行い、経営再建をめざしてきました。その結果、直近の四半期決算においても引き続き黒字を計上し、純資産も514億円を確保する状況となっております。これにより、400億円が棄損する事態は、回避することができたと考えております。
 今後の対応について都議会公明党は、経営再建を実現した段階で、業務提携もしくは事業譲渡を行い、追加出資の保全、回収をすべきと一貫して主張してまいりました。
都は、経営状況の推移や将来的な経済状況を見据えた上で、新銀行東京のあり方について明確にしていく必要があると考えますが、知事の認識を伺います。

【エネルギー政策について】
 次に、エネルギー政策について質問します。
 東日本大震災以降、国の無策によって2年余りにわたり、エネルギー政策の展望が見出せないまま、各地の老朽火力発電所がフル稼働し、膨大な国内の電力需要を支えております。こうした心許ない電力供給が続く中でも、首都圏の主な電力供給を担う東京電力は、福島第一原発事故に係る多額の賠償債務を抱えており、これら老朽発電所を更新するための資金調達がままならず、安定した電力供給体制構築に向けた道筋は未だ見えて来ません。
 こうした状況下で都は、首都圏を中心とした電力の安定供給と新電力事業者の起業を側面から支援するため、発電事業を投融資先とした、日本初の官民連携インフラファンドを立ち上げました。その後、昨年秋から今年にかけ東京湾岸の十万キロワット級の火力発電所や、熊本県芦北町のメガソーラーの建設資金等に対する投融資を相次いで実施しています。
 事業立ち上げから短期間の内に、平均的な一般家庭の使用電力、約7万3千世帯分に当たる発電量を確保し、都のスピード感ある取組を評価するところでありますが、その一方で、エネルギー政策は安全保障も含めた国の専管事項という色合いも大変に濃厚であります。
一定の税金が投入されて行われる本事業を今後も都が進める以上、その前提として、都の将来にわたるエネルギー政策の全体像を明確に提示する必要があります。知事の見解を求めたいと思います。
 また、知事は電力供給の在るべき姿として、「地産地消」であると常々発信されております。しかしファンド事業による発電が、東京から遠く離れた熊本県芦北町のメガソーラーであることは「地産地消」と矛盾しないか、との指摘があります。
 ファンド事業の今後の展開に当たっては、政府の中長期的なエネルギー政策の議論を踏まえ、事業実施のあり方や、国・民間との役割分担などを含め、十分な検討が必要であります。また、ファンドによる投融資先については、少なくとも首都圏域内を対象とすることが整合的であると考えられます。都の見解を求めます。

【成長産業支援について】
 次に、成長産業への支援について質問します。
 政権交代によって、国の経済の先行きに明るさが見えてきたといっても、よく指摘されている通り、成長戦略の有無が今後の成長の鍵を握っています。具体的には「安全・安心」や「環境・エネルギー」など、大都市の課題を解決するための成長分野を、新たに開拓することが喫緊の課題であります。
 そこでまず、安定的な電力供給を確保し、経済成長を支えていくという観点から、省エネルギー・再生可能エネルギーの普及を成長戦略として位置づけ、これら我が国の誇る環境技術を、より一層、活用することが重要です。
 都議会公明党はこれまで、HEMSを構成する燃料電池、蓄電池、ビークル・トゥー・ホームなどの活用を支援し、いわゆるスマートハウスの市場拡大を推進するよう、強く要請してきました。
 都がこれに応じ、25年度予算案でスマートエネルギー推進事業として、新たな補助制度の創設を打ち出したことを歓迎いたします。さらに、この補助事業による経済波及効果は、900億円を超えると見込まれており、事業の効果を一層高めるためには、戸建て住宅だけではなく、マンションなどの集合住宅にも適用できるよう工夫する必要があると考えますが、都の見解を求めます。
 また、かつてに比べ太陽光発電を巡る状況は大きく変化しました。都はこうした状況に対応し、「屋根貸し」により太陽光パネルを普及させるため、建物の屋根ごとに、その導入ポテンシャルを定量的に地図表示する「ソーラー屋根台帳」を来年度開発するという、新たな取り組みを開始しました。
 さらに、これまでの補助事業により飛躍的拡大した住宅用の太陽光発電については、設置コストの低減も踏まえ、今年度で補助事業を終了させる方針であります。しかし、その結果、太陽光発電の普及を減速させてはなりません。都は、従来の補助事業に代わる新たな普及スキームを構築すべきであります。都の見解を求めます。
同様に、安全・安心に関わる分野の新技術の開発、導入を強く求めたいと思います。近い将来東京は、全国で最も一人くらし高齢者、あるいは高齢者のみ世帯が多くなると指摘されています。従って、孤独死問題への対応など、高齢者の見守りが大きな課題となっています。
 この見守りに、大きな力を発揮するのがセンサー技術であります。ある企業は、大学や研究機関に蓄積された高齢者の健康に関する研究成果を活用し、遠隔地であってもセンサー技術を活用して、高齢者の健康状態をきめ細かく確認できる見守りのシステムを開発しました。
 また、身体の障害や機能の衰えをサポートする器具の開発などは、多彩な技術を持つ中小企業が大いに活躍できる分野であります。
 そこで、解決すべき課題が山積する医療や福祉、介護などにおいて、センサー技術や、ニーズへの対応力の高いロボット技術の開発などに、都内中小企業の技術力と大学等の知見を結び付け、開発のスピードを加速させていくシステムの構築を目指すべきであります。都の見解を求めます。

【中小企業支援について】
 さて、リーマンショック以降のかつてない厳しい経済情勢の中で、中小企業の資金繰りを支えてきた中小企業金融円滑化法が、この3月末をもって終了することになりました。
 都議会公明党はこの円滑化法の終了が、業況が回復せず経営改善の進まない中小企業に大きな影響を及ぼすとの懸念から、昨年来、経営改善計画の策定支援や資金繰り支援の拡充を強く求めてきました。
 今回、都が新たに実施を打ち出した「特別借換融資」は、複数ある借入金を一つにまとめて、毎月の返済負担を減らすことが可能であり、中小企業の資金繰りを支えるために、大変効果的な支援策であると評価します。
 しかし、多くの金融機関が、この3月にも、金融円滑化法終了を見越した対応に出て来ると予測されており、この「特別借換融資」については、できるだけ早く取り扱いを開始すべきであります。見解を求めます。
 これまで、円滑化法の適用を受け、条件変更等により、辛うじて苦境を凌いできた中小企業が数多く存在しますが、経営改善に向けた取り組みが難行している企業も未だ多数に上ります。
 小規模な会社の経営者は、身を削るような努力を続けておられるものの、経営改善の計画づくりやその実践には不慣れなことも多く、意欲と実力はありながら、経営改善が十分でないとされて、資金調達の途が閉ざされてしまう場合も少なくありません。中小企業が経営基盤の強化を着実に進めていくためには、やはり専門的な知見やノウハウを持った、外部の専門家のサポートが不可欠であります。
 そこで、専門家派遣事業の大幅な拡充を図り、中小企業を強力にバックアップしていく必要があると考えますが、都の見解を求めます。

【若年者の雇用就業対策について】
 次に、雇用対策について質問いたします。
 大学生の就職内定率はリーマンショック後に大きく低下しましたが、昨年の12月1日時点では、対前年比で3.1ポイント上昇し、新規学卒者の雇用環境は、やや改善傾向がうかがえます。しかし、若年層の失業率は他の年齢層と比較して高い水準で推移しており、若年者を取り巻く雇用環境は、依然として厳しい状況にあります。 特にリーマンショック後、就職先が決まらないまま大学等を卒業し、未だ安定した仕事に就けない人が数多く存在します。不安定雇用の期間が長期化すると、正規雇用化が困難になる恐れがあり、こうした若年者に対する就職支援は、極めて重要であります。
 これまで都は、給料を肩代わりした上で、一定期間の試行的雇用の後に本採用に結び付けていく「紹介予定派遣」を活用した「未就職卒業者緊急就職サポート事業」などを、卒業後間もない人たちを対象に行って来ました。しかし、リーマンショック以降、不本意ながら不安定雇用に甘んじて来た世代にも十分な支援を行うためには、既存の紹介予定派遣を活用した事業を柔軟に見直し、一段と踏み込んだ就業対策を推進すべきと考えます。都の見解を求めます。
 また、若者に対する就業支援の実施にあたっては、就職活動の変化を踏まえながら対応していくことが必要であります。近年、若年者の就職活動は、大きく様変わりし、企業への応募方法は、手書き・郵送方式から、ウェブサイトでのエントリーに変わり、また最近の就職活動においては、スマートフォンが必須であると聞いております。
 こうした中、就職活動における情報収集の手法も変化しており、民間の就職情報サイトの存在感も高まっております。
 一方で、都内中小企業は、若年者の採用にあたり、公的な就職支援機関に大きく依存しており、中小企業の情報が十分に届いていないことが懸念されます。さらに、求人情報が氾濫する中で、どの企業にターゲットを絞って就職活動をしたらよいのか、よく分からない若年者も少なくないのが実態です。
 若年者就業対策の実効性を高めるためには、こうした実態に十分、目を向けながら、民間のノウハウも活用して、就職支援事業の多角化など対策の充実を図っていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

【がん対策について】
 次に、がん対策について質問します。
 都は、平成20年にがん対策推進計画を策定し、がんの予防・検診・治療から、緩和ケア・がん登録に至るまで、一貫した流れを構築し、総合的ながん対策を進めてきました。そして、平成25年度から5年間の次期「がん対策推進計画」に、我が党が主張してきた「がん教育」や小児がん対策などを盛り込みました。 そこでまず、がんを予防するための健康教育について質問します。
がんは、都民の病気による死亡原因の第1位であります。今後は更に高齢化が進み、ますます、がんに罹る人が増えることが見込まれ、がん予防は、都民共通の重要課題であります。
 区市町村においては、小学校で「がん教育」を実施したり、がん検診の個別受診勧奨の際には、年齢や関心度に応じた情報提供に努め、また、地元企業などと連携して、がん予防に関するシンポジウムを開催するなど、様々な工夫を凝らしております。
 今後は、こうした取り組みをさらに充実させて、全ての都民が、がんを予防するための健康的な生活習慣や、がん検診について正しい知識を身につけることができるよう、がん予防のための教育に積極的に取り組むべきであります。見解を求めます。
 次に、小児がん対策について質問します。
 全国では年間、約2000人が新たに小児がんに罹患し、現在、16000人近くの子ども達が小児がんと戦っています。
 また、小児がんの種類は多岐にわたり、それぞれ治療方法が異なっている上に、専門分野が医療機関ごとに分かれているため、最適な医療が迅速に提供されているかどうか、不安があります。
 一方、小児がんは、患者の約7割が治癒しますが、発育・発達障害や臓器障害などの合併症を発症するケースがあり、その合併症に対する治療、また、それに伴う精神的不安などの問題があります。そのため、成長・発育に伴って、長期に渡る様々な支援が必要であり、都議会公明党は、平成21年第三回定例会代表質問でもこの問題を取り上げ、その後も小児がん対策について、繰り返し主張・提案を行って来ました。
 過日、厚生労働省は、「小児がん拠点病院」の指定を行いましたが、小児がん患者とその家族が抱える問題に適切に対応していくためには、豊富な医療資源とそれに関連する環境が整っている都の特性を生かし、東京ならではの効果的で総合的な小児がん対策を進めていく必要があります。都の見解を求めます。
また、「小児がん拠点病院」として指定された全国の15病院の中に都立小児総合医療センターが選ばれました。小児がん拠点病院は、再発がんや完治が難しいがんにも対応する病院であります。そこで、小児総合医療センターにおいて、様々な課題に対応可能な質の高い医療提供体制を整備すべきであります。見解を求めます。
次に、がん患者の就労支援体制について質問します。
 がんは、生涯のうちに、およそ2人に1人が罹る可能性があると推定されております。一方、がん医療の進歩とともに、がん患者また、がん経験者の中には、治癒後はもとより治療中にも働く意欲をもつ人が多くなっています。
 しかし、仕事と治療との両立が難しく、仕事をやめざるを得なかった方も多く、また、仕事をやめ、社会との繋がりを失ったことに不安を抱く人も多いのが現状であります。実際に、がんになったことより、解雇を含め退職を余儀なくされたことに、より以上ショックを受けたとの話を伺うことも度々あります。
 こうしたことから都は、就労可能な働く世代のがん患者が、治療を受けながら仕事を継続できるよう、対策を講じていく必要があると考えますが、都の見解を求めます。

【救急医療体制について】
 次に、救急医療体制について質問します。
 平成17年をピークに減少傾向にあった救急搬送患者数は、平成22年から再び急増し、特に高齢者の搬送患者の増加が顕著な状況です。その一方で、患者を受け入れる医療機関は平成10年の411施設から、平成23年には328施設と、20%以上減少しています。
 限られた医療資源の中で、個々の医療機関の使命感や、努力のみでは限界があることを直視し、救急医療全体の底上げを図っていかなければなりません。
 都議会公明党はこれまで、救急医療体制の充実・強化に積極的に取り組んでまいりました。昨年の予算特別委員会では「都が、独自に行っている救急医療機関への補助については、救急受入れ件数に応じた補助制度とし、受入体制の強化を促す必要がある」と提案したことに対し、福祉保健局長は救急医療対策協議会に諮問するとの答弁を行いました。この質疑から一年が経ちますが、平成24年の救急搬送件数は、前年を上回る状況にあると聞いております。
 今後の急速な高齢化の進展など、将来を見据えて、救急医療体制の見直しを早急に進めていくべきと考えますが、現在の救急医療対策協議会における検討状況を含め、都の今後の取り組みに関する見解を求めます。

【高齢者の住まいについて】
 次に、高齢者の住まいについて質問します。
 都内における高齢者人口の急増が見込まれるなかで、住まいの確保は、最重要の高齢者施策であります。都議会公明党はこれまで、高齢者が適切な負担で入居でき、安否確認や生活相談などが受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」の必要性を繰り返し訴え、都もこれに応え、「平成26年度末までに6000戸」の目標をかかげて整備を進めてきました。
 こうした中、先の知事選で、この「サービス付き高齢者向け住宅」の拡充を猪瀬知事が公約に掲げ、その結果、目標を1万戸に上方修正したことは、我が党の昨年12月の代表質問に沿ったものであり、評価したいと思います。
 居住の安定こそ、すべての行政サービスの基盤であるともいえます。高齢者であれ、障害者であれ、住の安心・安定は都市生活者にとって不可欠の要件であります。まず、サービス付き高齢者住宅の目標達成に向け、全庁的に取り組むべきであります。関係局長の答弁を求めます。
 一方で、これら「サービス付き高齢者向け住宅」だけでは、急激な住宅需要には到底対応できません。都は平成24年度に、新しい「高齢者の居住安定確保プラン」を策定しています。これを着実に推進するとともに、都営住宅建て替え後の住戸と用地の活用、さらに民間住宅市場の活性化など、政策を総動員して、高齢者の終の棲家を確保すべきです。都の見解を求めます。

【障害者グループホームの整備について】
 次に、高齢者の住まいについて質問します。
 都内における高齢者人口の急増が見込まれるなかで、住まいの確保は、最重要の高齢者施策であります。都議会公明党はこれまで、高齢者が適切な負担で入居でき、安否確認や生活相談などが受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」の必要性を繰り返し訴え、都もこれに応え、「平成26年度末までに6000戸」の目標をかかげて整備を進めてきました。
 こうした中、先の知事選で、この「サービス付き高齢者向け住宅」の拡充を猪瀬知事が公約に掲げ、その結果、目標を1万戸に上方修正したことは、我が党の昨年12月の代表質問に沿ったものであり、評価したいと思います。
 居住の安定こそ、すべての行政サービスの基盤であるともいえます。高齢者であれ、障害者であれ、住の安心・安定は都市生活者にとって不可欠の要件であります。まず、サービス付き高齢者住宅の目標達成に向け、全庁的に取り組むべきであります。関係局長の答弁を求めます。
 一方で、これら「サービス付き高齢者向け住宅」だけでは、急激な住宅需要には到底対応できません。都は平成24年度に、新しい「高齢者の居住安定確保プラン」を策定しています。これを着実に推進するとともに、都営住宅建て替え後の住戸と用地の活用、さらに民間住宅市場の活性化など、政策を総動員して、高齢者の終の棲家を確保すべきです。都の見解を求めます。

【認知症高齢者対策について】
 続いて、認知症高齢者対策について質問します。
 現在、全国の認知症高齢者は300万人を超え、65歳以上の人口の1割を占めます。都内においては、支援が必要な認知症高齢者が23万人を超え、平成37年には38万人に達すると予想されています。ますます、一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が増え続ける東京において、認知症高齢者対策は緊急かつ重要な課題といえます。
 そこで最初に、認知症高齢者を地域で支える拠点として、認知症高齢者グループホームの役割を重視すべきです。このホームでは、家庭的で落ち着いた雰囲気の中、少人数による共同生活を送ることにより、認知症の進行を和らげる効果があると認められています。
 都はこれまで、「認知症高齢者グループホーム緊急整備事業」を実施するなど、グループホームの整備に取り組んでまいりましたが、今後も引き続き認知症高齢者の増加に対応するため、グループホームの整備をスピードアップする必要があります。具体的な今後の対応策について、見解を求めます。
次に、急激に増え続ける認知症高齢者とその家族を地域で支えるために、区市町村、地域住民、医療機関、介護事業者が連携した対応策、または、そうした問題意識を共有できる地域づくりが欠かせません。
 そのためには、地域の認知症対応力の向上や、認知症に対する地域住民の知識・理解度の深化、さらには、医療・介護にわたる人材の育成等が急務であります。認知症高齢者を地域で支える体制づくりに関して、都の見解を求めます。
 次に必要なのが、認知症を予防・改善するための新たな取り組みです。
 わが国では、認知症になると自立生活が不可能との認識が一般的です。確かに認知症は放置しておけば進行し、自立生活は困難になります。しかし最近の知見では、適切な支援策によっては、生活改善が可能とされ、自立に向けた取り組みも試みられています。
 埼玉医科大学の森隆准教授の研究によると、運動と娯楽、そして、社会的なコミュニケーションの維持など、三つの療法の組み合わせが、認知症等の予防と改善に効果があるとされております。
 また我が党は先日、認知症に対して症状の改善効果があると言われている「心身機能活性運動療法」の現場を、大田区と中野区で視察してまいりました。この療法は、運動と娯楽、そして人づきあいの三要素を組み込んでおり、脳と心と体を総合的に活性化して認知症を改善し、健全な日常生活を取り戻すことを目標にしています。 東京都としても、このような認知症を予防・改善する取り組みを把握して、検証を行い、積極的に取り組む区市町村を支援すべきです。見解を求めます。

【教育について】
 次に、教育問題について質問します。いじめや体罰で自殺するという事件が相次ぎ、様々な教育改革の議論が行われていますが、制度の一部を変えて解決できるような問題でないことは明らかであります。「子どもは大人の姿を写す鏡」と言われるように、社会が抱える課題が凝縮されて、教育現場に現れております。教育問題を特定の学校の問題として、個別の教員の責任を追及するだけではなく、社会全体の問題として見つめ直していかなければなりません。
 こうした視点にたち、子どものために、学校、家庭、地域社会が協力し合う「教育のための社会」づくりをめざしていくべきであります。そのためには、迂遠に見えても家庭・地域社会が協力して学校を支援していく態勢の強化が必要ですが、まず都教育委員会の見解を求めます。
 その上で、教育を再生するためには、その最前線である学校の機能を強化しなければなりません。本来、学校は、現実の社会環境がいかに厳しいものであっても、そこに行けば希望があり、未来があり、子どもたちに生きる力を与える場所でなくてはなりません。
 ところが実際の学校の多くは、近年の社会情勢を反映し、抱え込む課題・問題が複雑化、深刻化し、医療や法律などの専門的なケアまで求められ、解決するためには教職員だけでは対応できないケースが増えています。
 そこで、医療・心理面からも、いじめや不登校に対処するスクール・カウンセラーの公立小・中・高校への全校配置や、各種行政機関などと連携を図るスクール・ソーシャルワーカーの配置の拡大を進め、児童・生徒の問題行動の解決のために、こうした外部人材と学校・教員の連携を一層強固なものにしていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、教員自身の教育力の向上に向けた取り組みを支援していくべきです。教員は日々、子どもと向き合い、試行錯誤を繰り返しながら奮闘しています。また、授業力を磨き合い、後輩に教育技術を伝える取り組みをされています。こうした現場の創意工夫を生かせるよう、また、教員の日常的な努力を支えるために東京都教職員研修センターにおける教科研究の内容を見直し、充実していくべきでありますが、見解を求めます。

【多摩の新しいビジョンについて】
 次に、多摩の新しいビジョンについて質問します。
都が公表した「新たな多摩のビジョン」では、「多摩の将来像2001」に掲げた基本理念や、これまでの取り組みの成果・課題などを踏まえ、ハード・ソフト両面から、これからの多摩地域が進むべき方向性を明らかにしました。多摩地域においては、今後、人口減少や少子高齢化が急速に進展する自治体もあり、それぞれの地域では、買い物弱者の発生や一人暮らし高齢者の増加など、地域や年代ごとに異なる様々な課題が存在しています。
 このような中、ビジョンに基づく多摩振興策の実現に際しては、あらゆる世代、あらゆる人々が充実した生活を送るための環境整備を目指して、それぞれの自治体や地域の実情と課題に即した対応を行うことが求められています。そのためには、都の全庁を挙げた取り組みはもとより、市町村とも十分に連携を図り、地域の実情を踏まえた取組を進めて行かなくてはなりません。都の見解を求めます。

【自転車政策について】
 次に、自転車政策について質問します。
自転車は、誰でも気軽に利用できる車両であり、都民生活に不可欠な交通手段です。同時に、環境負荷の低減、健康増進、観光振興の観点からも利用の促進が望まれます。
 一方で、近年、交差点内を中心に自転車と歩行者の事故が多発し、都内全体では交通事故が減少する中で、逆に自転車関連の事故は増加しています。被害に遭っているのは、高齢者や子ども、障害がある方々です。その原因は、自転車利用者のマナーの欠如、交通ルールへの無関心があります。従って、悪質なルール違反運転に対する取り締まりの強化や、教育マニュアルの作成は重要です。それと同時に、自転車の走行空間の整備が遅れていることも問題であり、今後は、自転車レーンなどを積極的に整備し、自転車の走行空間を確保すべきです。
 こうした認識を踏まえ、我が党は一昨年の第一回定例会以来、一貫して自転車総合政策の策定を主張し、東京都自転車条例の制定を求めて来ました。その結果、今定例会において「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案」が議案として上程されました。
 しかし一部の人から、本条例は、自転車の利用を抑制するもので、自転車が持つ利便性が損なわれるのではないか、といった懸念の声も寄せられております。都の総合対策と条例は、いたずらに自転車利用を抑制するものではなく、むしろ、その安全で快適な利用を促し、歩行者の安全、道路の安全を向上させるものでなくてはなりません。
 そこで、知事の自転車総合対策と条例化についての所見を伺いたいと思います。

【治安対策について】
 最後に、東京の安全・安心について質問します。このたび、首都東京の治安維持の重責を担う警視庁のトップに、樋口建史警視総監のあとを受け、西村泰彦警視総監が就任されました。
 過日の本会議開会日には、西村警視総監より治安状況報告がなされ、特に犯罪抑止総合対策では、指定重点犯罪など数多くの課題に取り組まれる中、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺など、新たな治安撹乱要因への対策も、警視庁として最重要の課題であると強調されました。  現在、東京都は、2020年のオリンピック・パラリンピック招致活動に取り組んでおり、3月にはIOC評価委員に対するプレゼンテーションも予定されております。
 そこにおいては、言うまでもなく「東京の治安の良さ」が占めるウエイトは極めて大きく、招致の結果を左右する鍵であるといっても決して過言ではありません。 それだけではなく、東京の治安は、わが国全体の安定と活力の維持、さらには国民生活全体の安全と安心にとって、文字通り不可欠の条件であります。
 招致活動が本格化し、日本再生のスタートに当たるこの時期に、改めて、東京の安全・安心の確保、治安の維持に向けた警視総監の所信を伺い、代表質問を終わります。



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